サムライせんせい最終話続き(4)

 すっかりご無沙汰してしまいました。国の内外の苦難に直面している方々に思いを馳せつつ、いつもながらの(というほど更新していないけど)エントリーを上げさせて頂きますけれども。




 海道を追う龍馬と止める武市さん。一歩も譲らぬ二人が屋上で「やるしかない」と対峙する所まで前回、書き起こしたのですが。




 当初、海道暗殺への加担を承諾していた武市さん。




 前回書き起こしたセリフにあるように、実際に東洋様を手に掛けた武市さんには、暗殺を行っても何も残らなかったという反省が元々あった気がしますが。(目の前の壁を力づくで消そうとしても悲劇を生むだけ、という今の世界にも届いて欲しい事を武市さんは言うてはんねんな)




 アザ同様、自分たちが命を懸けて戦った先にこんな腑抜けた日本があるなんて、という憤りもあり。サムライだから無為に生きるより大義を果たしたい、その為には命も懸けるというスタンスでもあり。何よりアザは無二の友、放ってはおけん、という気持ちがあって一度はアザの誘いに乗ったのかのぅ、なんて思いますけれども。





 二言はないはずの武士・武市さんが気持ちを変えたというね。それって、ハンパないことだと思うのですが。富子さんとの束の間の邂逅と、150年の時を越えて届いた富子さんのお手紙は、それだけのパワーを持つかも、素敵〜!なんて思いました。




 どうして生きようとしなかったのか、武士の名誉も見栄も捨て去っておったなら富子と一生添い遂げることもできたはずなのに、と美しい涙を一筋流した武市さん。




 富子さんもまた、暮らし向きのことは、もうあなた様が憂う事はないけれど、激動の時代だったとはいえ、あなた様と穏やかに添い遂げられなかったことが私には残念でなりませぬ、と時を越えたお手紙で書いておられ。




 時代は今、幕末の騒乱期から遠ざかっていた戦乱の足音が再び近づいてきております。いつになったらこんなことが終わるのでしょうか。いつか人の尊い命が本当に尊いものとして大切にされる時代が来ると良いですね、とそのお手紙を結んでおられるという。




 ほいでな、今の時代の人間として平成の世を擁護してみるとですね。




 今の平和な世は、武市さん達のような仲睦まじい夫婦が穏やかに添い遂げやすい環境で。身分制度もないから、寅ちゃんたちみたいな、今は格差のあるカップルでもその気になればそれが可能だと思いますし。




 そもそも、今の平和な時代は、武市さんの最愛の人・富子さんの望んだ「人の尊い命が本当に尊いものとして大切にされる時代」に大筋では近いというか、少なくともそこを目指しているというか。




 様々な事件が後を絶たず、ある意味闇は深くなっているかもしれないけど、晴香さんが涙目で訴えていたように、今は「人を殺す事とか絶対ダメな」「死ぬこととか全然カッコ良くない」時代ですし。




 富子さんがお手紙でその足音が聞こえると綴った悲惨な戦乱期を経験し、二度と繰り返すまいと平和を誓って今に至った訳ですから(平和主義も色合いを変えてきた感じだけれど根本は変わらない、のかと)




 歴史を知ろうとしなかった武市さんですが、富・晴情報等から、分かったのかな、と。




 平和ボケした今は先人の勝ち取ったもの。自分がこの時代に来たのはアザを止める為。時代に逆行してはならない。今を受け入れなければ、というようなことが。




 それが「時代を嘆くな!今を生きるぜよ!」ということかな、と思うのですけれど。




 どんな理由があっても人を殺めてはならぬ!と海道暗殺を阻止する為に、命を懸けて争ってしまうというジレンマ。志の違いで尊いはずの互いの命を懸けてしまうのね。やっぱり彼らはサムライだから。




 なんてことをうにゃうにゃ書てみた所で、前回書き起こした東都テレビからの素敵ポインツを書いていきたいと思います〜。前回からだいぶ間が空いたので、セリフとかまた書いちゃうけど、繰り返しでごめんね。




 あと神木くんも勿論素晴らしいのですが、あたしゃ武市さん係なので、武市さんのことばかり書きますのでお含み置き下さい(って今更ですわね)。





 さて、東京、東都テレビで、アザが短筒で部下を追い払って(志のない人間には真の同志がついてこないからね)、日本刀で海道を今にも斬ろうとしたその時。鞘に入ったままの刀でカキ〜ンと止めに入る武市さん。頭には白い包帯。




 「どういうつもりじゃ、武市さん?!」「止めるがじゃ、アザ!」




 そんな武市さんの精悍な面魂も、ちょっとしゃがれた必死の叫びも素敵!侍唄やスペアキー等では優し〜くなるスモーキーボイスは、ロックなガナリも、お芝居での怒号も超ハマるという幸せ。




 その隙に逃げた海道は屋上へ。武市さんの鞘を払って後を追うアザ。続く武市さん。皆さんが書いていらしたけど、錦戸さんは律儀に走り難い草履をはいたまま屋上に走るという。そのまま殺陣も草履履きのまま行うという。ハンサムさんなだけでなく身体能力も高くて演技力もあるって最強ですわね。





 そして追い詰めた屋上で転んだ海道を再び斬ろうとするアザ。アザの腕を掴んで懸命に止める武市さん。

 「おんしゃ、おかしゅうなったがか?!」
 「企ては中止致せ!」
 「どういてじゃ?!」
 「どんな理由があるにせよ、人を殺めてはならぬ!」
 「今更何を言うちょる。これは武市さんのやり方じゃろう!」
 「すまぬ、アザ。わしが間違うちょった。東洋様を手に掛けた結果、わしは切腹させられ、同志らは処刑された。最後には何ちゃ残らんかった。目ぇの前の壁を力づくで消すことのみでは何ちゃ解決にはならん。力づくの解決は悲劇を生むだけじゃ!」




 「何言うちょる!」と武市さんの手を振り払ったアザは「覚悟致せ!」と再び海道に刀を振り上げ。そこへ武市さんがバッと羽織を投げて止めるのも味な感じでしたし(錦戸さんだから動きは勿論決まるし、武市さん、ギリギリまで刀を抜かないのね、素敵、なんて思って)。




 この辺り、アザと激しくもみ合いながら、必死に説く武市さんの強い、真摯な目に心打たれました(しかし綺麗な目だこと)。




 さらにセリフも重みも説得力もあってお見事!と思いました。滑舌も良く、声がお腹から出ているというか、上滑りでないというか。さっきも声のことをちょっと書きましたが。




 ぷりんの時に「いい加減にせぃっ!」が既に一般の方に褒められていたけど、それが、おもてなし課の「仕事してぇ〜!」、抱きしめたいのお父様との怒鳴り合いと、シャウト系のセリフもますます魅力的になっていったような。武市さんに至っては、もうホレボレ致しました。




 そして海道を庇うようにアザの前に立った武市さんは「ようやっと分かったがじゃ。わしがこの時代に来た意味が」と告げます。一層深くなる声。潤んだ大きな瞳。背景に赤く光る東京タワー。




 「アザ、おまんを止める為じゃ。言うたちそうじゃろう。わししかおらんからんのう。おまんを止められるがは。龍馬、もうえぇがじゃ」




 ここの「言うたちそうじゃろう」から、武市さんがぐっとくだけた口調になるのがイカス。そしてくだけた口調になりながら、龍馬、もうえぇがじゃ、の澄んだ瞳の深いこと、哀しいこと。あの物言う大きな瞳に魅入られたら人はもう後へは引き返せないという。恐るべし、錦戸亮




 「えぇことないろが」と武市さんに斬りつける龍馬。鞘で受ける武市さん。




 「今ん時代が、わしらが戦こうた先にある未来がこんな日本であるはずがない。武市さんもそう思ったがやないがか?!」
 「確かにそう思っちょった。不甲斐ない若者にいきり立った。ただぼうっと暮らす人々が歯がゆかった」
 「ほれやったら?!」
 「けど違うたんじゃ!この平和ぼけした今は、先人の勝ち取ったものなんじゃ。龍馬。時代を嘆くな!今を生きるぜよ!」




 この辺り、武市さんが「アザ」でなく「龍馬」と呼ぶのも何か胸に迫りましたし。「時代を嘆くな!今を生きるぜよ!」も勿論カッコ良かった!エェ声、エェお顔で実に決まっていた!




 あんなボーイソプラノのエンジェルちゃんが、あんな色気のカタマリの男前になるとは!しかも可愛いさも残しつつ。How excellent! (異人かっ!)




 しかし、こうした武市さんの必死の説得も空しく「わしは今の時代で同志たちを率いておる身じゃ。今更引けん。筋は通す」と譲らない龍馬。


 「わしも譲れぬ」
 「ほぅ。志の違いじゃのう。 ほいやら、やるしかないぜよ」
 「ほぅ、わしらは侍じゃからのぅ」




 もう、本気で龍馬と戦わざるを得ない。口を薄く開いて、哀しい目で龍馬を見据えたまま。刀の鯉口を切って、するるっと鞘を落とす武市さんが、ゾクッとするほどカッコ良かった!




 とうとう刀を抜いた武市さんが、切なくも、最高に色っぽいのでありました。




 という所で続きはまた次回に〜。(相変わらずのらりくらりしていてすみません!)。