前回の続きです。


和「おやじはー、学校出てなかったから、怪我しただけで、すぐやめさせられてしもうて」
喜「そのかたき討ちたいのか。エリートになって(芝居がかって)誰じゃーい、おやじの首切ったんは!
  わしがおまえの首切ったるわーい…」
和「(微苦笑の後)そんなん思てませんよ。(おとなしげに)僕も高校だけやし、定時制やし」
喜「和ちゃんよー。なんでおまえはそんな悲観的やねん」
和「(うつむき加減に)僕は普通に暮らしたいだけです。普通に一人で生きられるようになりたいんです。
  (ちらっと喜助さんを見上げて)誰にも迷惑かけへんように」
喜「大将のとこ居てたらー、迷惑かけるってか」
和「大将の力にはなりたい、恩も返したいです。
  でも、このままやったら僕はアカンのです。このままあの人に甘えてるわけにはいかないんです」


 甘えていればいいのにねー、和ちゃん、カワイイんだから。なんか、家族ではない他人なのに、甘えている状態が心苦しいらしい。「甘えるのを喜んでくれなくなったら、その人を恨んでしまうから」というような発言が他のシーンで出てきた気がします。前にも書きましたが。このへんも、まさに家庭に恵まれない薄倖の青年に見えたけど、大家族で暖かくもハードに育てられた青年錦戸には想像しにくい心境だったかもね。続く。