サムライせんせい最終話続き(1)

 さて、最終話、素敵ポインツ。




 冒頭、海道邸から逃れてきたビル屋上で、龍馬の企みを聞く武市さん。




 せっかく身分制度は無くなったのに、金を持っているヤツが偉い、腐敗した今の時代。海道のような志もない一部の輩が、権力の源となる金を握り、下の者らにはそれを正す気概もない。ほうやき、わしは「平成建白書」を作り、底辺の者らに訴えかけたがじゃ。一緒に日本を変えようと、と龍馬。




 目指すのは、富が皆に正しく再分配される新しい日本。その為に、海道を斬る。同時に、贈賄のデータを流出させ、一揆を引き起こす。1万人の同志が一斉に蜂起する手筈になっちょる。




「けんど、人を殺すがは、おまんが一番嫌がったやり方じゃろ」と武市さん。




 「もしも武市さんが生きちょったら、こんな国にはなってなかったはずじゃ。武市さんのやり方で強引にでも、この時代を変えると決めたがじゃ」と答える龍馬。




 「わしらがやるんじゃ。それがわしらがこの時代に来た天命なんじゃ。武市さん、この時代を変えんかい?!もう一度わしらの手で日本を、いや世界を洗濯するぜよ!」




 熱いアザの訴えを、少し潤んだまっすぐな目でしっかと聞いていた武市さんは、ここで一瞬だけ目線を泳がせ、小さく口を開けて、思案する様子でしたが。(こういう表情の演技も、最強!また、赤く光る東京タワーをバックに、キッパリと美しい横顔が、映えることはえること!)




 それから少し伏目になって、目を上げた時には武市さんは腹を決めていて、かすかに笑って、「あい分かった」と言う表情が、これまたExcellent!(久しぶりに、異人かっ?!)




 決意とか、命を懸ける覚悟とか、エライ企てに乗った連帯感とか、(過去、東洋様を手に掛けて良い事は何もなかった。また、繰り返すのか、みたいな)哀しみ・諦念とか、でもアザは無二の友、もう腹は括った!みたいな清々しさとか。




 色々な思いが混ざった目の色をされていた気が、個人的にはして、リアルで見事だと思いました。




 目の色と言えば、あたくし、第一話の感想で「冒頭、とうとう切腹、『すまぬ。富子』の後の覚悟の目がスゴイ!凄絶、というか、まさに切腹直前の目の色。錦戸亮、大した役者さんだわ。グッと惹きつけられる!もちろん、それまでの無念・諦念・悲哀みたいな感じも素敵」と書いたのですけれど。




 あるドラマレビューで、「昭和から時代劇を見ているが、これまでの切腹シーンの中で一番感動した」というコメントがあったの。ご覧になって?大人の、時代劇をずっとご覧になってきた方も、そう思われたのね!と思って大層嬉しゅうございました。




 さて屋上シーンに話を戻しますと、「あい分かった」を、ただ真剣・深刻なお顔で言うのでなく、小さく笑みを交えたりするのも、ナイスなのですわね。今回のドラマ感想でも、こういうの前に書いたな。あ、サチ豪邸のお話で、寅ちゃんを叱責・鼓舞する時だわ。




 「『わしらは必死に戦ったんじゃ。何百年と続いてきた時代を動かす為に、それこそ、命をかけて戦ったんじゃ』の



 『それこそ』の後で、ちょっと笑みが入って『命をかけて』と続く言い方が、表情が素晴らしかった、




  笑みは楽しい時、嬉しい時にだけこぼれる物ではないものね。計算だか憑依だか知らないけど(両方なのかな)、錦戸さん、実にリアルな演技をされる方ですわね〜」

と、その時書いたのですけれど。




 錦戸さんは泣きに定評がありますが、それだけでなくて。上記のように、大きな瞳に様々な感情がないまぜになったような色が浮かんだり、笑い絡みの演技も良かったりして、リアルで奥行のある、通り一遍でない演技をされるので、ずっと目が離せないのであります。




 ちなみに笑い絡みの演技が良い、というのは、ご自分が笑うのも、笑わせるのも、上手いし、上に書いたように、本来なら笑わなそうな所で、良い塩梅に小さな笑みを混ぜるのが巧みだったりする、という意味のつもり〜。




 そして「あい分かった」後の「これが天命とあらば、従うほかあるまい」も、言い方、表情ともに、何だか意志の強さに加えて、高揚感も感じられてナイス、と感じたのだけど、いかがかしら。




 武市さんは無為に生きるのはお嫌そうだから、平成の世で成し遂げるべき大義を見つけたら嬉しいだろうし。謹厳実直だけど、言うても牽引力のある幕末の志士だから。アザを放っておけないということに加えて、ひとあばれウェルカム的な所もあるのかな、という感じの高揚感。




 しかし、それを強く出し過ぎると、ちょっとカユイ感じになると思うけど、その辺りもベストな塩梅で素敵!いや〜。大した役者さんだわ〜なんて勝手に思っておりました。




 そして「武市さん!」と手を取った龍馬の血のついた手を、武市さんがガッと上から組み返すのもナイス・バディ感でした!グッと力を入れた横顔の目のあたり、ぺーたさんのあくまでもホリの深いお顔立ちが漢らしい〜。




 続いて、漫喫のシーン。ポップな音楽と共に険しいお顔でブースからピョコっとお顔を出して、何なのじゃ、この穴倉のような場所は?!とか言っている武市さんが厳つキュート。




 龍馬の「漫画っていう本があるんだけど」という説明にふぅん、と深く頷くのもラブリー。本人大真面目なんだろうけど、ペータさん、なんかカワイイのよね。何度も書いているけど。




 自分たちが出ている漫画を物珍しげに眺めていたかと思うと、絵箱に何か打ち込む龍馬を大きな目をまんまるにして「おまんは何をしておるのじゃ?」と見ているのも面白キュート。




 龍馬の明日決行!の書き込みに、いきり立ったコメントが続々届くのを、「ほぉ〜」と、特大びっくりまんまる目のまま見ているのもラブリー!(こんなんばっか)




 そこへやってきた晴香さんが、どのブースかな、とのぞいていって、顔を寄せ合う2人を発見、やっぱり衆道!と思うシーン。




 後ろから見ても、武市さんの長マツゲがくっきり見えるというね。精悍なお顔立ちに、セルロイドのお人形バリのくるんとした長マツゲがくっついていたりして、実に興味深く魅力的なお人ですけれども。




 海道暗殺の企てを聞いてしまった晴香さん。さすが剣豪、人の気配を感じて効果音と共に「何やつ?!」と晴香さんに扇子を突き付けるペータさんも、厳つラブリーでしたが。(武市さんのハイトーンの「相変わらず歌舞くのぅ」も印象的だった)




 ブースに入って、「今の話、聞いてたんですか?」「いいえ、全然」のクダリも愉快だし(ちろーっと横目で晴香さんを見ているような龍馬と武市さんの表情ナイス。そらっとぼける晴香さんも)




 晴香さんにガバっと寄って「武市さんを神里村まで送って頂けませんか」と言う龍馬も、「佐伯殿に御礼がしたいのじゃ」と大声で頭から被せるように言う武市さんも、「てか近っ」とか言っている晴香さんも、面白キュートでした。




 忙し気に絵箱を打つ龍馬と、漫喫でも例によって姿勢良く正座の武市さんに挟まれて、ちょっと邪魔、状態な晴香さんが「狭っ」とか言っているのもナイス!3人とも見事な呼吸。(続編希望!)




 ということで、中途半端ですけれど、年内はここまででとさせて頂いていいかしら。新年にパラレルワールドから戻ったら(なんてうそぴょ〜ん)、また続きを書くかもしれません。




 このようにドラマを見返していますと、錦戸さんは、前から表情の演技等、優れていたのが、年季を積んで、引き出しも増えて、更に磨きがかかり、その上セリフ回しの説得力など、実に良い塩梅に増した感じ、なんて何様なことを思っております。




 来年も良い役、良い作品に恵まれるといいですね!




 それでは皆様良いお年を。