サムライせんせい最終話続き(2)

 パラレルワールドから戻ったので(まだ言うとる)、年末に書いた最終話素敵ポインツの続きを。漫喫のシーンまで書いたので、その後から。




 佐伯邸和室。拙者、江戸にて平成の世で成し遂げるべき大義を見つけ申した。二度とここへは戻れぬやもしれぬ故、こうして恩義ある佐伯殿に最後のご挨拶に戻って参った次第でござる、と、武市さん。




 あくまで礼節を重んじるスタンスが素敵ですけれども。手をついて美しい角度でお辞儀する姿、体を起こして、膝に手を置き背筋を伸ばして端然と正座する姿、まさに侍!な、こういうお姿も見納めかと思うと胸に迫るものがありました〜。




 話を聞いて、どうしてもお見せしたいものが、と佐伯さんが席を外し。




 本当は私、聞いちゃったんです。楢崎さんと一緒に海道さんを暗殺するって本当なんですか?と問う晴香さんを見る目や、




 「聞かなかったことにしてくれぬか。晴香殿の為にも、その方が良い」のセリフ回しも表情も、重みや思いやりが感じられて、まさに武市さん!という感じで。今更ですけど、錦戸さんの演技、良いわ〜と思いました(何様)。




 更に、



 この時代は、人を殺す事とか絶対ダメなんです!アザは無二の友、放ってはおけん、命を懸ける覚悟もできておる。

 「ましてや一度切腹したこの命、惜しくなどない」



 の辺りの言い方、まっすぐな目で晴香さんを見る表情もナイスだと思いました。決意は変わらぬ、みたいな静かな一徹さが感じられたというか。通常はあまり見かけないセリフだけど、説得力があったというか。




 そんな武市さんに「今の時代はね、死ぬこととか全然カッコ良くないんです!」と涙目で訴える晴香さんも素敵でしたわ。




 かつての晴香さんからは考えられない必死の説得は、翻意させるには至らないけど、武市さんの心に響いたのではないかしら。武市さんの瞳も潤んでいたような。




 そこへ寅ちゃんがノンキに入ってきて空気が変わるのですが。寅ちゃんの声にかすかに目線を揺らして、入ってくる寅ちゃんをチラリと見てから、顔をそむけて涙をおさめる晴香さんを気遣わし気に見て、また寅ちゃんを見る、みたいな武市さんの細やかな表情の演技がまた素晴らしい!




 しかし、オトボケ寅ちゃんたら、海道さんと部下を連れてきちゃって。「おまんは!!」と素早く侍らしい目配りをするペータさんが、激イケメンさんでした。座卓を盾にして攻撃をかわし、海道部下の足をすくうのもカッコいい!




 アザから預かったデータは守らねばならないし、佐伯家の人達を危険にさらせないし、佐伯家を走り出るのも男前。海道さんの手下はちょっとぽっちゃりさんだけど、夜の山道を武市さんは袴に草履。しかも敵は飛び道具を使う卑怯者。




 バキュンと短筒を撃たれて、驚いて振り返った錦戸半平太さんが、夜目にも美男子でしたけれども!続けて撃った弾のダメージを受けたのか、崖から転落する武市さん。嗚呼!




 でもでも、塾の子供たちが武市さんを見つけて、密かに介抱しててんな〜。良い子達だわ〜。しかし、負傷して、熱が下がらず、意識のない武市さん。そんな様子も魅力的。きゃ〜。




 心配して、どうする?!と子供たちが焦っている所へ「ごめん、後をつけてた」と理央殿ら大人達が現れ。キッズがザッと立ちはだかって「サムライせんせいは渡さない!」と言うシーンは、何度見ても泣きます。皆のキリッとした目も可愛くて、いじらしくて。おチビさんに弱いお年頃なものですから。




 こうして武市さんは佐伯邸で介抱されることに。海道さんが、武市さんに何と一千万の懸賞金をかけていたけど(さすがに大人達はどよめいて。あの方、スーパーの店長さんかしら、すわ探しに行こう!という勢いだったけど)。何でもお金で動かそうとする海道さん、お生憎様〜というね。




 さて、頭に包帯を巻かれてお布団に寝かされている武市さん。(今更だけど、錦戸さんは前髪の演出要らずの真正男前だから、月代も白ハチマキも包帯も似合う〜)。寝顔も美しいけど、お布団が上下するのが速くて、息が苦し気なのが伝わります。




 ここで、武市さんと富子さんの束の間の邂逅シーンが入るのですわね。夢か現か、これが何とも不思議で胸揺さぶるシーンでございましたね。





 揺らめくロウソクの炎。




 見慣れぬ場面に、大きな目で辺りを見回す武市さん。「ここは?」




 と、そこには…。



 (武市さんの目がみるみる潤んで)「…富子…」
 驚いて振り向く富子さん。




「これは夢か?」
「おまさん…」
「そうか。ここはわしが死んだ後ながか?」バックに侍唄。



 駆け下りて武市さんに勢い良く抱きつく富子さん。「会えて嬉し…」



 武市さんも何とも嬉しそうに微笑んで、頬を寄せた後 (この時、子供をアヤすように、富子さんの体をかすかに揺らしている風なのも胸を打つ!)




 辛そうな表情になって。




 「すまぬ、富子。(ここで、背後の困窮した暮らしぶりに目をやり←富子さん、畳も無く台の上にむしろを敷いて、内輪貼りの内職をしてはってんな〜。皆さんがお持ちのキラビヤカな内輪ちゃうのよ←分かるわい)、




 一人身になった後、こんな生活をしておったがか。わしと一緒になったばっかりに、苦労かけたのぅ」涙声で、でも涙が零れ落ちるのは何とかこらえて、そう言う武市さんが切ない!




 (相変わらず、錦戸さんの泣きのシーンは、美しく、胸を打ち、最強ですけれども。泣き以外の演技も、あまねく素晴らしいのよね!コメディって難しいと思うけどコメディもイケるし。「わしと一緒になったばっかりに、苦労かけたのぅ」の、ちょっと自嘲的なセリフ回し、表情なども見事だと思いました)




 武市さんに抱きついたまま、ポロポロ涙を流していた富子さん。




 「なんちゃ、おまさんと一緒になれて」と言って、武市さんの腕をつかんだまま、少し体を離して「私は幸せでございました」と武市さんの顔を見上げますが。




 そんな富子さんを見る武市さんの瞳が哀しくて(なんて美しくも切ない目をしはるのやら)。




 「久しぶりに会うたがです。笑うて下さい」という富子さんに、



 小さく何度か頷いて「そうじゃの」と、武市さんが頑張って作った笑顔がまた、切ない!(いや〜、錦戸さんの演技、見事だわ〜)




 「おまさんは切腹された後、どうされておったがでございますか?」
 「おぅ、わしか?信じられんかもしれんが、わしはの、富子、死んでおらんがじゃ。切腹した後、今よりずっと先、150年後の時代に飛ばされてのぅ。何とそこでわしは、生きちょる!」




 (ここの武市さんの言い方、表情もナイスだったと思います。生き生きとしていて、説得力があって)




 涙に濡れた目をビックリしたように見開いたまま、しばたたく富子さん。(富子さんは武市さんのようにタイムリープを体験している訳でもないし、すぐ消化できるような情報でもないものねぇ)




 そんな富子さんを、大きな瞳で気遣わし気にのぞきこんで。
「どういた?富子。なぁんぞ辛いことでもあるがか?わしに言うてみ!」と武市さん。




 「なんちゃ、嬉しいがです。生きちょると知って、嬉しいがです!」そう言って微笑む富子さん。




 今度は本当に嬉しそうな笑顔をみせる武市さん。




 ふっと炎が消え、暗転。




 佐伯邸和室。小さく鼻をすすり、薄く目を開ける半平太さん。「あっ、武市さん」と声をあげる佐伯さん。




 という所で、続きは次回〜。