『お嫁においで』の後のシーンをちょっとだけ進めます。


喜助・和人『・・・サーンゴーでーこさーえたー赤い指輪あげよう〜♪』
歌い終わり、やや喜助に背を向けるようにして、分かりやすくウナダレる和人。


喜「おい、シャトーの若大将よ〜。何悩んでんねや(のや?)」
和「そんな、からかうんやったら、言いませんよ」
喜「からこうてへん。和ましたってんのやろ。(優しく)言うてみ?」
和「大将、僕がずっと(かすかに眉間が曇る)パン屋やると思ってるんすかね」
喜「なんや、やらへんのか。おまえ、そない中途半端にやってんのか」
和「いゃ、そんなつもりはないです。大将も一生懸命教えてくれるし、僕も一生懸命覚えようとしてます」
喜「けどー、ずっとやる気はあらへんてか」
和「来年学校出たら、就職しようって」
喜「就職?」
和「はい。(←極めて従順そうなカワイイ言い方)。自動車関係の会社に入ろう思て」
喜「そうか。おまえのおやじさんも自動車工場に勤めてたんやったな」

自分の夢や自立したいという願いと、恩人・大将への思いの間で苦悩する細首和ちゃんが、ハカナげです。しかも長兄は大将への恩をアダで返しちゃった後に亡くなったという経緯もあるのでした。続く。