[錦戸亮]にぃに感想‐泣きは最高、でもそれだけではないのよ③

 度々お邪魔してすみません。今日は、亮ちゃんの、泣きとか笑いとか、パッキリ区別できないデリケートな表情の演技のことから書いてみようかと思います。



 以前にも書いたのですが。ドラマの亮ちゃんからは核となる感情がバーンと伝わってくるのはもちろんだけど、なおかつ、その表情にはいろいろな思いが混ざっているように見えて、そんなところもリアルで深いわ〜と思うのであります。人間の心の中には一つだけでなくて、様々な思いが渦巻いている気がするからね。




 たとえば「泣き笑い」みたいな表情がそうではないかと。泣きでも笑いでもなく、ということで、この例を挙げるのはシンプルすぎる展開かしらん。でも心に残る表情だと思うので、まずこれを挙げてみました。




 にぃにですと、ラスト、どうしても伝えたいのに、携帯を打つ手が痙攣し始めてしまったあたりで、恵介くんが一瞬見せる表情ですわね。 あの一瞬の泣き笑いみたいな表情で、今、伝えなきゃいけないのに…という、恵介くんの衝撃とか、焦燥とか、落胆とか、自嘲とか、諦念とか、悲哀とか、いろいろ混ざった思いが見える気がするのよ〜。



 そのほかにもcomplicated(何で英語やねん)な表情はたくさんある気がします。コワイとばかり言われがちだったラスフレでも、キラボシのごとくそういうのがあったと思うんだけどな〜。たとえば、「好きな人ができた」とみちるちゃんに言われた時の、宗佑さんの笑顔の余韻+呆然+驚愕・失意・悲哀みたいなのが混ざった表情とか。(前にhttp://d.hatena.ne.jp/sucsuc/20080606で書いたので、絶望的にヒマな方はご参照下さい←なんか職業病でこういうのを書き添えるので気にしないでね)。




 錦戸くん、ここでこういうお顔をしてね〜、とか言われるわけではなく、ご自分のインスピレーションでそうされているのでしょうから。天性のセンスとか、ご自身の努力とかのお蔭なのか、ああいう演技を可能にするインスピレーションを、あの垂れ目薄型美青年が備えているという幸せが、ただもうありがたいです…。




 さて、「泣きは最高、でもそれだけではないのよ」編(何言うとんねん)の締めに、もう一つ書きたいことがあってね。ラストに携帯打つ前の「答えが分かった」顔のことなんだけど。




 恥ずかしながら私はリアルタイムのとき、泣くのに忙しくて、そのあたり、あんまりちゃんと見ていなかったみたいなの。ストーリー覚書を書くので見直したら、そこで固まってしまったわ。もう、息を呑む表情で。恵介くんの瞳が洞(ほら)みたいになって、そこから心が覗けそうなんだよ。




 ストーリー覚書では、苦し紛れに「そこにはないものを見ているような表情になり…」とか書いてみたものの。言葉になんかできな〜い、あたしゃなんて無謀なことをしとんね〜ん、と思いました。ハナからそれは分かっていたけれどもね。




 本当に、ああいう重い病気で、ああいう経緯で、ああいう葛藤があって、ああいう状況にある青年が……答えが分かった……ときの顔としか言えないというか。




 ネットでも「にぃにが乗り移ったような演技」というコメントをたくさん見かけましたが、確かにそう表現するよりほかないかも。そういう演技の例として、あの表情を挙げたいと思います。




 あまりに深い魂の演技というか、既に演技を超えたもので、言葉では伝えられないから。泣きだけとか、暴力シーンだけ(←なんと短絡的な)とか口走る方に、ぜひあのシーンをちゃんと見て頂きたいわ。フンっ。



 …ということで。錦戸亮は、泣きは最高、でもそれだけではなくて、病気で弱っていく様子もリアルで、笑いもイケて、繊細で複雑な表情でも魅せて、にぃにが乗り移ったような演技と言うしかないような、うじゃこじゃした細かい言葉による説明なんか吹っ飛ぶような、見る人の魂を震撼させる表現のできる俳優さんだと思うのであります。




 ということで、「泣きは最高、でもそれだけではないのよ」編(また言うとる)を終わります。あと後日またちょっと他のこと書くかも〜。