にぃに感想-美化しすぎず③

 また、亮ちゃんのことばかり書くのよ〜。前回の続きで、例の看護士・詩織さんに対するちょっとご無体な感じのセリフを言うシーンを、非常に魅力的なものにした錦戸亮の資質とは…みたいなお話なのですが。




 まず、最も重要なのは、繰り返しになりますが、やはり、彼の高い演技力だと思います。演技力というか…、あまりに自然でリアルで、既に演技を超えたものというか。




 前にも書いたけど、ここは亮ちゃん、こんな風に上手に演じてみせてはるわ〜というのではなく、何だかもう痛いくらいの真実があって、そこにいる恵介君を夢中で目で追って、あたくしはただただ泣いていたのであります。




 そんな彼の演技(を超えたもの)については、http://d.hatena.ne.jp/sucsuc/20091111#1257949836などに書いたので、世にも物好きな方はご覧になったりして頂きたいのだけど、今回は、例のシーンに沿ってちょっとだけ追記しようかと思います。




 え〜、個人的には、このシーンの前提として、恵介くんは、口にはできないものの、詩織さんが好き!ということがきちんと伝わっていることが大事な気がするのですね。




 ずっと内心好きだったけど、言えないし、言ってどうなる?的状況の恵介君が、当の詩織さんに、病状を知っていて、まぁ他に何とも言いようがないかもしれないけど「できることがあったら何でも言って」と言われて、様々な絶望的屈折が、瞬時に暗く凝り固まってあのセリフとなったと思うから。




 ちなみに詩織さんのセリフの若干偽善的な香りもあのシーンに自然につながり、あのシーンで、性的なことばかりでなく、恵介君の心の闇全体がババ〜ンと伝わった気がするというのは、前に書いた通りです。




 さて、前置きが長くなったけど、亮ちゃんの場合、その、恵介君が詩織さんを好きな感じも、見事にべストな感じで伝えてはったと思うのよ〜。




 一つの例として、最初の再発の後、詩織さんが、病室に注射を打ちに来るシーンを挙げてみますと。ある夜、恵介君が一人密かに手の痙攣と闘っていると「恵介くーん」と不意打ち的に、気になる詩織さんが入ってくるのですね。




 で、思わず、束の間、まぶし気に詩織さんのお顔をのぞき見上げた恵介君に、詩織さんが「何?」と聞くと、はっと一瞬困ったような表情になって、うつむいて「いや、別に」とボソボソつぶやいて。注射の為に腕を巻くりながら「下手に刺すなよ。この前なんかマジで痛くて…」と毒づくのですけれど。




 もう、このあたり、目が「好きっ」と言っているというか、恵介君の目の動きや表情だけで、秘めた想いが痛切に伝わってきて、素晴らしい!と思いました。まったくやるもんだわ、錦戸亮




 (ちなみに、そんな想いを何とか毒舌で隠そうとするのがまた、リアルにいじらしく、胸を打つと思いました。毒舌についてはまた、できれば後日触れるかも・あてにならないけど)。




 そして、その後、「相変わらず可愛くないな〜。…物理君」とか言いながら注射を終えた詩織さんが、今日は何の勉強?みたいに、気軽く恵介君のベッドに腰掛けるクダリ。無造作にベッドに座った詩織さんをびっくりしたように見る恵介君がまた良いのよ〜。はっとした感じがビビッドに伝わってきて。




 苦しい思春期を過ごす、女子に縁を持ちようのない恵介君ですから、病室とはいえ、二人きりの状態で、気になる人が自分のベッドに座ったら、それはドキ〜ッとすることでしょう。ここでもまた目の動きと仕草(←追記に合わせて追加しました)だけで、そういう感じを表現し尽くしていたというか。




【追記】izm様に教えて頂いて気付いたのだけど、ここでちょっと恵介君がちょっと坐り直したこと関連が抜けていたので、追記します。大切な要素だと思うから〜。



 izm様は鋭くも「思わずちょっと後ずさり?する感じが初見の時から心に残ってて。ちょっとお尻をずらしますよね?ほんとにかわいい男の子です」と書いていらしたのだけど(izm様、書いちゃったよ〜ん←小学生的絡み方)。本当にその動きで、恵介君がちょっとひるんだ感じというか、気になる女性が、何というかデリケートな領域の地続き部分に、ふいに坐って、思わずそれに連動した感じというか、思春期男子のビクンという心の跳ねが鮮やかにキュートに伝わってきた気が致します。





 こんなこと言ったらまた誰かに怒られるかもしれないけど、健康で、数秒見つめたら大概の女子は彼が好きになってしまうような境遇の青年が、「本当に、ああいう重い病気で、ああいう経緯で、ああいう葛藤があって、ああいう状況にある恵介君という青年の病床に、気になる女性が座ったときのようなお顔と仕草(←ここも追加しました)」をし得るのがすごいと思います。亮ちゃんだから当然か。




 ということで、前にも書いたけど、天性のセンスとか、ご自身の努力とかのお蔭なのか、ああいう演技を可能にするインスピレーションを、あのやんちゃ青年が備えているという幸せをかみしめつつ、また次回に続きます〜。