陰陽屋11(最終回)の1

 最終回も素晴らしかった!笑えて、泣けて、「ナイス祥明さん!」なやり口で魅せてくれて。このドラマらしいナイスな着地を決めてくれました!(何様)。



「商店街の演技力」を再び見ることもできて愉快でしたし(今回は瞬太くんと秀行さんも例の棒読みをやってくれてキュートだった!)




 みどりさんが、いつか本当のご家族が現れたら、笑顔で送り出そうと夫と話していた、でも、そんな簡単じゃないんです、ずっと一緒に暮らしていたら、そんな簡単じゃないんです、と泣いちゃうシーンとか、




 「サツキは嬉しそうにあの篠田巻き、作ってましたよ、これがお母さんに習った味だと言ってね、きっとあなたのことを思ってたんでしょうねぇ」と言う源次郎さんに、サツキさんのお位牌を胸に抱いたお祖母様が、「長い間、本当に娘がお世話になりました」と涙で頭を下げるシーンとか、




 キツネに戻ってしまった、と思われた瞬太くんが、幕の裏から出てきて、みどりさんが抱きついて、涙を流すシーンとか、




 もう、ことごとく泣いちまったわ〜。本当に良いお話でした。




 そしてそして、個人的に何より印象的だったのは、錦戸祥明さんのカッコよさであります!




 しつこい記者を追い払う為、祥明さんが提案した「嘘の化け狐退治の儀式」。そこで記者に隠し撮りさせるのは、耳と尻尾の出た瞬太くんの姿、でも、その耳も尻尾も偽物、ガセネタか〜ぃ、あのインチキ陰陽師にかつがれた〜、と記者は帰る、という段取りのはずが。





 祥明さんは、最終回も悪役を買って出て、




 「自分が当主になりたい祥明さんが、実は安倍家の後継者で邪魔な存在の瞬太くんを、あの記者に売り渡すべく、本番では本物のキツネに変えちゃった」テイにするのですね。





 瞬太くんが妖狐だと知る商店街の皆さんはすっかり信じて、「人間の頃の思い出を語りかけて、早く、戻れなくなります」という秀行さんの叫びに、瞬太くんが生まれた時からの思い出を、キツネに向かって必死に話しかけるのですが(ここもウルっときた〜)。






 「もう無理ですね。諦めて下さい」と言う祥明さん。大スクープだ!と興奮してキツネを車で連れ去る記者。祥明さんは激怒した皆に「この町から出てっとくれ」と言われ、「元々そのつもりでした」と去っていきます。


 


 と、瞬太くん、もういいよ、と秀行さんが声を掛け、幕の後ろからキツネにされたはずの瞬太くんが出てくるのですわね。驚く皆に、(実はそうするように祥明さんがマッキーに頼んだのだけど)槙原さんが俺とキツネをすり替えて助けてくれたんだ、と言う瞬太くん。瞬太くんに抱きついて泣くみどりさん。




 そして、祥明さんから大事な儀式だからとその場に呼ばれていたお祖母様は、商店街の皆さんの瞬太くんへの愛の深さを目の当たりにして、深く感謝して頭を下げた後「どうやら私の探していたものは無かったようです」と帰っていかれ。






 記者が連れ去ったキツネも、実はワンと鳴くキツネ似のワンコだったっぽくて(ふふ) 過程はリハーサルとだいぶ異なるけど、ちゃんと記者が「ガセネタかいっ!!」と言う結果となり。






 こうして、祥明さんは、一人悪役に徹して、お祖母様からも、記者からも、瞬太くんを守ったのですわね。さすが陰陽屋さん!(その方法もあのドラマらしくてナイスでしたわ)





 そして、狐火に寄って、「上手くいったか?」と、お見通しの源次郎さんを、柔らかく深く強い目で見て、長い一礼を残した後、商店街の皆には何も言わないまま、トランク一つ提げて町を出て行く祥明さん。カッコいいわ〜!





 しかし、結局、黙っていられなかった秀行さんが、全部ヨシアキの筋書だと、ヨシアキにキツネと瞬太くんをすり替えてくれと頼まれた、と種明かししちゃうのですね。マッキーったら「このことは誰にも言うな。おまえが守ったことにしろ。それで自分の手柄にして、路子先生でも口説いたらどうだ」と言われたことまでしゃべっちゃって。





「でも、できる訳ないですよね、俺はあいつの唯一の友達ですから」とちょっと胸を張るマッキーが愛しい!




 (祥明さんは、「秀行がしゃべったのか。あいつは一生損する奴だな」と言っていたけど。いじめられっ子だった祥明さんに、柔道やキャッチボールを教えてくれた秀行さんは、ちょっと単細胞だけど、そういう、まっすぐな人だから。祥明さんが「おまえしか頼るやついないんだよ!(←この、いつになく必死な言い方が素敵でしたわね!)」と心を許しているのでしょうね)





 そして、祥明さんの後を追った路子先生が「ズルイですよ。皆に何も言わないで、自分だけ悪者のふりしてカッコつけちゃって」と言うのだけど。まったくその通り!祥明さん、カッコよすぎやろ!





 さらに、本当は安倍家を継ぎたくなくて、かわりに家を継いでくれる人を探しにきたけど、瞬太くんは商店街にいた方が幸せだと思って、自分が安倍家を継ぐことにしたんじゃないですか?と言う路子先生に。





 「どっちだっていいじゃないか、そんなこと。すべてのことに白黒はっきりつけてどうなる」なんて風に吹かれて飄々と言う祥明さんが、





 もうなんぼほどカッコいいねん!と思って、あたくし、現在、祥明ロスがはなはだしい状態であります。





 そして、下記のような、さらに細かい(朔さん的考えすぎかもしれない)ことを考えれば考えるほど、陰陽屋さんがますますカッコよく思えて、切ないくらいさ。




 例えば、



 祥明さんが、必死にキツネに話しかける皆に「もう無理ですね。諦めて下さい」と冷たく言ったのも、「皆さん、瞬太が化け狐だと知っていて庇っていたんですね。本当に薄気味悪い商店街だ」と吐き捨てるように言ったのも、




 悪役に徹して、あの場ですべてを丸く収める計画の遂行を確実にする為だけではなくて。




 こんなヤなヤツ出てって!もう思い出したくもない、と皆に思わせて。



 商店街と自分のつながりを極力絶って、あの後もずっと商店街の瞬太くんの幸せを守っていく為でもある気がするの。お祖母様は味方になったけど、あれだけのお家ですもの、ひょんなことから、例えばウルサイ親戚筋とかが、実は安倍家後継の適格者・妖狐の瞬太くんのことを嗅ぎ付けたらいけないし。




 同時に、たくさんの人を助け、皆に感謝され、商店街に馴染んだ祥明さんが町を出て行っても、ガランとした陰陽屋を見ても、距離の近くなっていた路子先生も含め、誰も寂しくないようにする為でもあった気もするの。




 それで、路子先生が追いかけてきた時も、最初は秀行さんが真相をしゃべったとは知らないから「これは先生。どうされました?慌てて」なんて、「おまえ呼び」も嘘だったかと思わせるような、シレっと距離間のある様子で言って。路子先生にも憎まれ続けようとしたのだと思うけど。




 秀行さんが真相を話したと聞くと、つかつかと先生に寄って行き。どうするのかと思ったら、「瞬太を頼む」と真剣に言って、後に残すイトコのことを託すのですわね。




 珍しく「おまえ呼び」をした路子先生は、祥明さんにとって特別な存在だったことは確かだと思うけど。祥明さんは町からスルリと姿を消すつもりだし、マッキーが先生を好きなのを知っているし。そんな路子先生のことも、託したというか、身を引いたというか、今回のことを手柄にして口説け、なんて、マッキーの背中を押していったのかな、なんて思います。




 (路子先生はかなり前から祥明さんに惹かれている様子だから、その線はなさそうだけど。でも珠希ちゃんがいてくれて良かったね)。





 そんなこんなを考えると、路子先生に進みたい道は「教授より教師」と気付かせ、源次郎さんと照子さんたちを和解させ、瞬太くんを安倍家からも記者からも守り、瞬太くんには、皆がキツネと知って受け入れ愛してくれていたと知らせ、他にもたくさん、皆を幸せにして、自分は憎まれ役のまま去って行く祥明さんが。賢くて、優しくて、自分は何と思われても、皆が幸せなら良い、みたいに人のことばっかり考えていて、メッチャ良い人だな〜という思いが胸に迫るのであります。




 もっと細かいことを書かせて頂くと。源次郎さんと、追ってきた路子先生とはお別れをして、他の皆には何も言わず去っていった祥明さんだけど。他の皆にもシナリオを崩さない範囲内で挨拶をしていった気もするの。「キツネくん、これでお別れだ」と言った時、実際、瞬太くんにお別れを言ったのでもある気がするし。




 商店街の皆に「この町から出てっとくれ」と言われて「元々そうするつもりでした」と去っていく前に、深く一礼したのは。慇懃無礼な風にも見えつつ、今まで瞬太をありがとうございました。これからもよろしくお願いします、という気持ちを込めていたような気すら、するの(←これぁちと盛りすぎか) それで、情に厚い、礼節正しい良い青年だな〜、ますます素敵!と思って。





 以上、(朔さん的考えすぎかもしれない)細かいこと部門でしたけれど、育て方間違えたかしら、なんて、お祖母様、メッチャ良い青年に育ってはりますやん、ということは、確かに言えますわね。





 さて、あとちょっとだけ最終回の祥明さんがカッコよかったお話(スタンダードモード)を続けますが。ラストの路子先生とのお別れシーンも良かったですわね。




 最終回、祥路方面をどう収めるのかな〜と興味深かったのだけど、そこも良い塩梅だったと思うわ〜。




 「あの、また会えますよね?」と潤んだ目で聞く路子先生に、「すべては星の巡り合せ。会える運命なら会えるさ。でも、そうのは信じないんだろ」と例の調子で言う祥明さん。


 「信じますよ…自分に都合の良いことなら」と路子先生がチャーミングに答えると、風に吹かれてメッチャ良い表情で笑う祥明さんが実に素敵だ!



 それで、ラスト、二人がまた会うかと思いきや、ニアミスっぽく締めるのも、良いセンスだったと思います(何様)。



 そして、基本的に人のことを考えて人の問題を解決してきた祥明さんが、最終回、自分はこう思って、こうさせて頂きますと、はっきり語った安倍家問題のクダリも、とってもカッコようございましたわね。





 前回あたくしが無邪気に書き散らした、幼い頃サツキさんに掛けられた言葉のこと等とも合わせて、安倍家問題についても書こうと思うのだけど。時間と体力の関係で、これについては、次回書かせて頂こうかと思います。ってか、結構何回にも分けて書いちゃうかも。(祥明さん素敵ポインツまでいつ辿りつけるか分からない〜)






 今までも最終回の覚書を何回かに分けてダラダラ書いたことはあったけど、あそこの伏線はどうされたの?とか、あそこはちょっとナゾ、みたいなスタンスで書いたドラマもあったのね。




 でも今回は、そういう破綻がないというか、すべてまるっと素晴らしかった、と思います(この辺、全部、何様)。笑えて、泣けて、ハッとする、実によく練られた素敵なドラマでした〜。制作の方も、役者の方も、音楽の方も、天才!




 それでは、またいつになるか分からないけど、後日また参ります〜。