前回の続きです。


 岩田家居間。春ちゃんのオリンピック出場決定を祝って、夕食にすき焼き鍋を囲む一同。いつもは外で食べる和人も、同席しています。この席で、春子はオリンピック決まったし、他の姉妹達も頑張ってるし、これで和人の就職が決まったら、何の心配もあらへん、てなことを口にする大将。和ちゃんのことを思っての発言ですが、「工場はどないすんの?」とビミョウな空気が流れ出します。


 工場は俺一人でダイジョブと言う大将。冬ちゃんが悪気なく「和ちゃん、今や、就職するって言ってしまい」と言うと、辛そうに和ちゃんがうつむきます。「冬ちゃん、無神経やで」と、たしなめるシスターズ。おはしを置いて、すいません、すいませんと頭を下げる和ちゃん。下に書いたのは、この夕食後のシーンです。


物干し台の冬子が、工場二階の和人の部屋に声をかける。


冬「かずちゃん。かーずちゃん」


窓を開ける和人。


冬「和ちゃん。さっきはごめんな」
和「(笑顔で)えぇねん。せっかくのお祝いやったのに、しらけさしてもぅてごめんな」
冬「そんなこと、気にせんといて。それより、和ちゃんは平気やの?
  お父ちゃんに悪いなんて思うこといっこもあらへんからね」
和「(真顔で)平気や。悪いな、って思うときもあんねんけど、平気になってしもた。
  …四国のおばさんとっからここ来るときもな、えらい悪いなって思ってん。
  行かんといてくれって、おばさんも言うてたしな。 (←誰でもそう言うと思う)
  …でも平気やった…(伏し目)…俺はそういうやつやねん」(←カワイイ)
冬「あたしかて、きっとそや。
  人から何言われても、自分が思たことはやってみたなる。
  和ちゃんもそんな人のこと気にしたらあかんて思う」


和人、一瞬うつむき顔を上げて


和「冬ちゃんもあとちょっとやな」
冬「うん。年が明けたら、すぐ文化祭や。
  これからもっと練習せなあかんねん」
和「(再び笑顔で)楽しみやな」
冬「和ちゃんも見に来てな。な、絶対見に来て」
和「(柔らかい笑顔のまま)うん。がんばって」
冬「和ちゃんもな。がんばろな」

少しの間見つめ合った後、おやすみと言って窓をしめる和人。




物干し台から男前呼び放題。なんという恵まれた住環境でしょう。


おとなしげに冬ちゃんと話す和ちゃんの語り口は、上手く言えないけど、諦念のような自嘲のような自虐のようなテイストが感じられたような。表情的にも、ジレンマに悩んで辛そうにうつむくシーンが多かったし。てるてる和ちゃんは、一部のツラそう好き錦戸亮ファンのニーズにきちんとお応えする役どころだったかもねぇ。


毎回書くけど、和ちゃんはほんとにおとなしそうで、口角の一端のみを上げてフッと笑うような人には見えませんでしたわね、全然。